1. 経営戦略

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戦略とは元々は軍事用語で、1960年代のアメリカで戦略という概念が企業経営に適用されるようになる。

経営戦略の定理には様々な説があり、それぞれ発展の歴史があり一貫性のある一つの体系にはなっておらず、現在になっても未だ結論には至っていないのが現状である。




経営戦略の歴史


用語や手法のなどの詳細は別記事で紹介する。
ここでは歴史全体のイメージと発展の概観を紹介する。


1900年代前半


テイラーやメイヨーの工場などの生産性の向上や労働意欲の向上、「チェスター・バーナード」の組織論が現れ始める。
世界恐慌があった時代であり企業が外部環境の変化にどのように対応していくかが求められていた。
この時代の経営は企業内の管理が重視されている。
PDCAの考え方もこの頃となる。


1900年代後半

経済が大きく発展し、企業が成長し規模が大きくなる。
企業の合併買収や新たな事業への展開(多角化)が起こることで、事業部ごとの組織や戦略が必要となってきた。
経営戦略の父といわれる「イゴール・アンゾフ」が事業戦略と企業戦略を提唱
そこから理論や分析手法が生まれていく。
また、「アルフレッド・チャンドラー」は組織と戦略について提唱した。(組織は戦略に従う)

この時代から組織重視(企業内の管理)だけでなく戦略(目的や目標)を重視するようになる。




ポジショニング派とケイパビリティ派(ポーターとバーニーの論争)

ポジショニング派

50年前(1970年)頃から競争戦略の第一人者「マイケル・E・ポーター」がポジショニングアプローチを提唱する。
利益を確保するために、儲かりうる市場を選び(5フォース分析)
競争を回避し(障壁)、儲かる位置取り(3つの基本戦略)を取る。
ケイパビリティ(=組織の能力)はそのポジショニングに合わせて強化していくという考え方になり、 【ポジショニング>ケイパビリティ 】 となる。



ケイパビリティ派

30年前(1990年)頃からポジショニングアプローチにより競争優位を築いても持続しないことがあることからケイパビリティを重視する考え方がでてくる。
ジェイ・B・バーニーのケイパビリティ派が頭角をあらわす。
模倣困難性の獲得要因にコアコンピタンスと、企業が有している経営資源を競争優位の源泉として築いていく。「リソースベースドビュー」と総称されている。
自社の経営資源を分析する手法として「VRIO分析」がある。



現在の考え方と今後の展開

ケイパビリティ派はVRIO分析によりどのような経営資源がまたは組み合わせが持続的競争優位に有効かを示しているが、その経営資源をどのように獲得するのかまでは表明されていない。つまり、組織としての強みが欠けている場合の理論が成り立たない。

ポジショニングとケイパビリティのどちらを重視するかは答えがない。

どちらを重視するのかはおかれている状況次第で組み合わせる必要がある。

100年前とは異質で、現在は外部環境の変化が激しく不確実性も高く戦略をパターン化できない。
これからも経営戦略の考え方は変化していくが、今の環境とおかれている状況を把握することが重要なのは変わらない。





経営戦略の概要

経営戦略は、外部環境だけでなく企業が掲げている目的(経営理念)などの内部環境に基づいて構成される。

1.成長戦略・競争戦略・撤退戦略のどれを採択するのかを決め

2.経営資源である
  ヒト
  モノ
  カネ
  情報(ノウハウ)
をどのように割り当てるかということを実践する。
これが経営戦略の概要になる。




経営戦略の体系

経営理念

経営戦略を構築する際は、経営理念との一貫性をもたせる。

1.経営理念
企業の行動指針のこと。
企業の抽象的な目標、理想的な目的、価値観など。
この企業は何のために存在するのかいった基本的な考え方をステークホルダー(利害関係者)に知らしめ、従業員に対して行動の判断の指針を与える。


2.経営ビジョン
自社の望ましい未来像のこと。
経営理念で規定された経営姿勢や存在意義に基づき、ある時点までにこうなっていたいと考える到達点であり、中長期的なイメージを社内外に示したものである。


3.経営行動基準
経営理念は抽象的になりやすいことが多いので、具体的な行動指針となりにくい。そこで、経営理念を行動指針として機能するように具体化したものとなる。


4.CI (Corporate Identity)
経営理念に基づき企業のイメージや行動様式の統一化を図っていくこと。
社名の変更、イメージカラー、イメージマークの導入など。
社外的効果だけでなく、企業の存在意義を浸透させるという社内的な効果もある。
ブランディングという考え方につながっていく。


CIの種類
MI(mind identity):理念
BI(behavior identity):行動
BI( visual identity ) :視覚
企業のマークや企業名をロゴ化が注目されるが、理念や行動の統一まで含めてCIといえる。


CIの運用方法
CIは厳格に扱われなければならない。
使用制限、大きさ(比率)や色の変更の禁止、配置方法など



経営戦略の階層

経営戦略は企業としての戦略(企業戦略)があり、次に複数事業を展開していれば、その一事業としての戦略(事業戦略)があり、他にも特定の部門(営業・品質管理・人事など)ごとの戦略(機能戦略)といった戦略が組織の階層ごとに立てられる。

1.企業戦略(成長戦略)
企業が持続的な成長を維持していくための基本的な構想のこと。
アンゾフの成長マトリクス、多角化など

2.事業戦略(競争戦略)
競争優位を確立していくための基本的な構想のこと。
ポーターの競争戦略、コトラーの競争地位別戦略など

3.機能戦略
購買、生産、営業、研究開発、財務、人事、情報システムなどの各機能の生産性を高める戦略のこと。




SWOT分析(環境分析)


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経営戦略を策定する際には、企業がおかれている環境と状況を把握する必要がある。そのためのフレームワークとして、SWOT分析がある。




経営管理

経営戦略を策定すれば、それを実行し管理しなければならない。
戦略実行を管理するフレームワークとしてPDCAサイクルがある。

経営計画のプロセス
中長期計画の作成→事業計画の作成→PDCAによる進捗の管理

経営計画の修正
経営計画の修正方法として、ローリングプランやコンティンジェンシープランがある。



※ 成長戦略・競争戦略・SWOT分析・経営計画についての詳細は別記事で紹介する。