経営理念・店舗理念

経営理念は社是や社訓、ミッションやビジョンにクレドなど様々な言葉で表現されており、これらがある企業は売り上げがよいとされている。
レジ付近や壁面に経営理念が貼られている店舗を見かけることもある。



経営理念とは

この会社が何のために存在するかといった基本的な考え方や将来こうありたいと考える姿を表す。
成文化されず、創業者や経営者の訓示が語り継がれているものや、社風やその組織の文化という形で形成されている場合もある。



企業は何のために存在するか

1.社会的には社会貢献や雇用の確保などの地域社会への貢献

2.法務の視点から株主(の願いをかなえる)のため

3.経営の視点から従業員のため

4.マーケティングではお客さまに選んでいただける商品(サービス)を提供するため

と様々な視点があり、立場によっても違ってくる。




店舗理念とは

店舗理念とは、スタッフだけでなく取引業者やお客さまに店舗としての基本的な考え方を示すもの。

フロント内などお客さまにも見える位置に表示するのが望ましい。

店舗理念は成文化されていなくとも、店舗の歴史的な背景や店長や社員、スタッフの言動や行動、店舗独自の文化などで形成されていく。

経営者や店長の考え方や価値観が統一されていれば、成文化は必ずしも必要でないが、店長が変わる度に考え方(理念や戦略)が変わるようでは資源が分散してしまう。外部環境の影響を受けやすいサービス業では事業戦略の見直しが必要な場合もある。また、様々な視点や立場で見方が変わってくるためある程度の価値観の共有が必要になる。そのため店舗としての理念は成文化しておくことが望ましい。
また、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)は有限なので、定めた範囲に集中投入することで効率よく成長させることができる。


店舗理念がなぜ必要か

店舗理念がまずあり、店舗理念をより分かりやすく数値目標など具体的に示したものが店舗方針や店舗目標になる。
それらを達成するために成長戦略や競争戦略を策定する。
つまり店舗をどのように成長させるか、どのように競争していくかは店舗理念から始まる。





店舗理念の作成方法

1.ドメイン(事業領域)を決める

ドメインが狭い例として

・ カラオケを通じて…
カラオケBOX専門店になる。
どのようなお店かお客さまにもわかりやすく、経営資源を集中できる。
ただし、新たな事業展開(ゲームコーナー設置など)やサービス(朝食・ランチサービスなど)の認識ができなくなる。
ドメインが狭い場合は、外部環境の変化に合わせ、ドメインを再定義することも必要になる。


ドメインが広い例
・音楽を中心に~:ライブ会場としての場所の提供など範囲を広げられる
・楽しみを提供する:アミューズメント全般を提供する姿勢を示す

何のお店なのかお客さまにわかりにくくなり、経営資源も分散してしまう。
外部環境の変化には対応しやすい。


2.商圏を定義する



お客さまは「だれ」なのか

つまり、
どの地域で生活しているのか
どの地域を利用しているのか
を定義する。

具体例として
・ 〇〇町周辺の~:地域密着型のお店
・ 市内一番店を~:大きな駐車場ある場合や駅が近くなら採用


3.どのように競争していくか


・カラオケをもっと身近に:お一人さまや短時間のご利用を推奨、低価格を目指す。
・ 地域最安値を~:同業他社に対して価格競争をおこなう姿勢
・ 地域一番のサービスを:他業種に対しても競争する



4.その他、スタッフに対してなど


・ 親切丁寧
・ 情熱


ドメインの具体例


例1.〇〇町と△△町とその周辺地域のみなさまにカラオケを通じて地域貢献していきます。

例2.地域社会とお客様にアミューズメントを通じて楽しい時間と幸せに貢献するお店を目指します。


例1では地域密着のカラオケボックス
例2ではボーリングやゲームセンターなどの複合施設になる。店舗理念を作成することで、範囲や事業内容を明確にする。








店舗理念の具体例




ドメインは狭いが、地域密着型の店舗となる。
雇用の確保による社会貢献や地域経済への貢献だけでなく、地域のお祭りや行事(文化祭など)への協力を意識させる。
駐車場が狭い、沿線に同業他社が存在する場合、このようにドメインを狭めることで過度な競争(価格競争)を避ける姿勢も示す。

ドメインを広くすると、「〇〇区一番店を目指す」「□□線沿線地域の」となり、同業他社との競争が激化すれば価格競争となる。

さらにドメインの広い例として
「安心・安全な楽しい空間を提供する」など

ドメインの範囲により、戦略も変わってくる。

他にも範囲に関係なく、お店の願いや考えを伝える例として
「おもてなし」といった店舗理念も考えられる。



行動指針や基本方針や目標について

行動指針・基本方針とは

理念は抽象的になりやすいので、行動指針として機能するようにより具体的にしたものになる。


店舗目標

現状足りていない内容や、〇〇までにこうなりたいという内容になる。

期間限定の目標の場合もあり(今月の目標、今年の目標など)、定期的に更新される。



作成の具体例




理念を作成することでドメインが決まり、その範囲内でどのような事業戦略を採用するか、お店づくりや様々な販促、競争行動の手法のどれを採用するかが決まる。